私たちの想い
高校時代、私は渋谷で月25日を過ごす『難民高校生』でした。家族との仲は悪く、学校でも理解しようとしてくれる大人と出会えず、街をさまよっていた私は当時、「自分にはどこにも居場所がない」と思っていました。街には同じような想いを抱えて集まっている人がたくさんいました。ファーストフードや漫画喫茶、居酒屋、カラオケの他、ビルの屋上に段ボールを敷いて夜を明かしたこともありました。当時の私たちや友人たちは、家庭にも学校にも居場所をなくした『難民』でした。
そうした少女たちが、見守る大人のいない状態で生活するようになると、危険に取り込まれやすくなります。心身ともにリスクの高いところで搾取される違法の仕事、性搾取への斡旋や、暴力、予期せぬ妊娠や中絶など、目をつぶりたくなるような現実を、私はたくさん目にしてきました。友達を助けられないこともありました。
高校を中退し、このままでは生活できない、どうすればよいのだろうと悩んでいましたが、頼ったり、相談したりできる大人はいませんでした。
そんな私に声をかけてくるのは、買春者か、危険な仕事か性搾取に斡旋しようとする人だけでした。それ以外に、自分に関心を寄せてくれる大人はいないと感じていました。
それから十数年がたち、私も「大人」と言われるようになりました。今でも、そうした少年少女に路上やネット上で声をかけるのは、多くが手を差し伸べる大人ではないのが現状です。そうした現状を放置し、容認しないために行動する大人が増えることが必要です。
「大人はわかってくれない」「大人は信用できない」という声には、「向き合ってくれる人がいない」「信じてくれる人がいない」という想いが込められているのではないでしょうか。必要なのは、特別な支援ではなく、「当たり前の日常」です。
私たちは、出会う少女たちの伴走者となり、共に考え、泣き、笑い、怒り、歩む力になりたいと思っています。すべての少女が「衣食住」と「関係性」を持ち、困難を抱える少女が暴力を受けたり、搾取に行きつかなくてよい社会を目指して活動を続けます。
一般社団法人Colabo
代表 仁藤夢乃