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東京都にバスカフェ開催継続に関する要望書を提出しました

東京都に対して、Colaboは以下の要望書を2023年3月20日に提出しました。

支える会が署名も立ち上げてくださり、29,000人以上の方がすでに賛同してくださっています。

https://chng.it/88bjCNrvSt

私たちは、新宿区役所前でのバスカフェの開催継続を望みます。

 

【新宿区役所前での3月22日のバスカフェ開催、また4月以降の継続についての要望書】

2023年3月20日

東京都保健福祉局少子社会対策部育成支援課

課長 榎本光宏 殿

一般社団法人Colabo代表理事 仁藤夢乃

 

〇バスカフェの活動実績

バスカフェ開催日には、スタッフやボランティアが夜の街をさまよう少女たちを探し、声をかけてつながるアウトリーチ活動を行っています。若年被害女性等支援モデル事業のはじまった2018年10月~2023年1月11日までに144回開催し、15,000名ほどに声掛け、3,400名ほどが利用しています。

 

〇開催の必要性

夜の街で少女たちを探し、声をかけるのは、性搾取を目的とした人ばかりという現状があります。特に新宿・歌舞伎町では性売買の業者や買春者が多く集まり、少女たちを狙って声をかけています。毎晩100~200人ほどの業者が街に立ち、少女たちに声をかけ、さらに買春者も毎晩100人以上確認できます。彼らは少女の話を聞き、食事や宿泊場所を提供し、「衣食住と関係性」を与えるようにして近づきます。それは決して「セーフティネット」ではなく、商品として扱い、性搾取するための手段です。困っている少女たちが支援につながる前に、危険に取り込まれています。

実際に私たちが夜の街を歩くと、男性たちが少女に声をかけ、連れて行こうとしている場面に必ず出会います。私たちはそうした場面に出会ったら、少女に声をかけ、業者や買春男性などから引き離して、バスカフェに案内しています。そうした少女たちは家が安心して過ごせる場所ではなく、虐待等から逃れるために児童相談所などに助けを求めても適切に対応してもらえなかったことなどから「相談」や「支援を求める」ことをあきらめて、自分でなんとかしなければならないと思って、夜の街に行き着いていることがほとんどです。

若年被害女性等支援事業を通して東京都も認識しているところであると考えておりますが、実際に児童相談所に相談しても「心理虐待程度では保護しない」とか「高校生年齢の子向けの施設には空きがないから保護できない」と言われることが起きています。そうして公的支援に適切な対応をしてもらえなかった少女たちが夜の街をさまよい、性搾取の被害に遭っていることは、東京都もご認識だと思います。

公的支援に繋がらない少女の中には、自分の困りごとに気づいていなかったり、あきらめ感が強かったり、自暴自棄になったりしている人が少なくありません。「大人に諦められた」と感じる経験をしていたり、自己責任論の中で「自分が悪い」と思い込み、声を上げられずにいる人もいます。「相談」や「支援」という言葉や行為に抵抗感を持つ人も少なくありません。こうしたことを厚労省も認識し、公的支援に繋がれずにいる若年女性につながる活動として、若年被害女性等支援事業が実施されているということは、先日の国会でも答弁されました。

私たちはバスカフェの活動を通して、そうした少女たちと出会い、つながり、関係性を構築したり、保護や宿泊支援、自立支援などの活動を行い、性搾取の被害に遭わずに暮らしていけるようにサポートしています。

 

〇支援の手法について

これまでご説明してきた現状から、私たちは10代の女性たちに声をかけ、つながるアウトリーチ活動を行っています。ピンクのバスとテントが目印のこのカフェでは、食事や飲み物、Wi-Fiや充電が無料。バスカフェでは「相談」や「支援」を目的としない場づくりをしています。少女たちに利用してもらいやすいように、大人が「してあげる」場所ではなく、「少女たち自身の場所」として気軽に立ち寄り、自由に過ごせる雰囲気を大切にしています。

バスカフェでは、生活に必要な物品や食品、衣類などを提供しています。コロナ禍で「お菓子よりも、お米が欲しい」「コスメよりも、下着や靴下が欲しい」など、生きていくために必要な基本的な食品や生活用品を希望する人が多くなっています。

若年被害女性等支援事業開始前にも、長年Colaboは声かけの活動を行ってきましたが、ただ声をかけるだけでは、アウトリーチの効果を得にくいため、本事業の委託を受けるにあたって、アウトリーチを効果的なものにするために、バスカフェを開設しました。バスカフェは、夜の街にいる少女たちが直接その場で立ち寄れる場として運営し、食事や生活用品等、少女たちが必要とするものを提供しています。そのことで、少女たちと直接つながり、顔が見える関係性を作っています。

開催場所を歌舞伎町や渋谷に設定している理由についても、本モデル事業開始時からご説明しており東京都にも理解されているものと思っておりますが、そうした少女たちが集う場所、過ごしている場所に私たちが出て行って、出向いてつながることが必要だからです。自ら助けを求めたいと思って、支援機関にアクセス出来る人には、アウトリーチではなく相談機関の周知・広報が必要だと思いますが、本事業におけるアウトリーチは、本来、「相談したい」と思える状態にある方に対してではなく、そう思える状況にもない女性たちにつながるためのものです。

家がなかったり、性搾取の被害にあったりしていても、「仕方ない」「自分のせいだ」と思い込み助けを求めることがなかったり、他者を信用できない、未来への希望も持てない状況にある少女たちとバスカフェでは日々出会っています。そうした少女たちに声をかけた際、バスカフェがもしも、建物の一室だったり、相談室のようなところで開催していたら、少女たちはそこに来ることに今以上に抵抗を感じ、彼女たちと繋がることは難しくなることは、本事業開始前の経験からも明らかです。これまで実施してきたように、新宿歌舞伎町の屋外で、半分外のような状況で、気軽に来やすい雰囲気であることによって、そうした少女たちと出会い、関係性を作ることができるのです。

〇開催日について

開催日について、3月22日にも開催しなければならない理由、また4月以降も継続して新宿区役所前での開催を必ず行いたいと要望している理由をご説明します。

第一に、これまでご説明したような危険にさらされている少女たちは、今日も歌舞伎町にたくさんいます。本当であれば、毎日バスカフェを開催しなければならない状況であり、毎日開催したとしても性搾取の加害者たちのほうが圧倒的に数も多く、少女たちが被害に遭うことを防ぎきれない状況があります。それでも月に3回程度でも、そうした少女たちと繋がる活動をしようと取り組んできました。

現在さまざまな誹謗中傷や妨害があるなかでも、バスカフェは50人ほどの少女たちが利用する日もあります。利用者は虐待や性搾取のなかにいる10代の少女たちです。生活が困窮している人も多く、食品や衣類などの物品は毎回50コンテナ近くなくなります。

性搾取業者に囲まれているが逃げられない、ホストから借金を背負わされ性売買させられている、今日食べるものや帰るところがない、住む場所がない、闇金に脅されている、妊娠したり病気にかかっても病院に行くお金も保険証もない等の状況にある少女たちが利用しています。私たちはそうした少女たちに具体的な支援を提供しており、これはバスカフェに対する妨害が深刻化した今の状況でも変わりません。3月1日には48名、3月8日には37名の少女が利用しました。声掛けによってはじめてバスカフェを利用した少女も多くいます。もし私たちがバスカフェを継続して開催しなければ、そのような少女たちが放置されることになってしまいます。

第二に、バスカフェは定期的に開催し、いつも同じ場所にあることが重要です。継続して活動することが、夜の街にいる少女たちにとっての信頼にもつながります。すぐにバスカフェに来なくても、困ったときは頼ろうかなと思って心にとめておき、いざというときに駆け込んでくれたり、連絡をくれることにもつながっています。また、これまでにバスカフェにつながっていた少女たちからも、同じ場所でのバスカフェの開催継続を求める声が多く届いています。それだけ支援を必要としている女性がいるということであり、これまでつながってきた少女たちと継続して関係性を作る場としてもバスカフェの新宿区役所前での継続を希望していますが、本来は、まだつながれずにいる(支援を求めようという明確な意思がある段階ではない人も含めた)若年女性につながるための活動として本事業があるため、もしもそうした声がなくとも、むしろそれは当然のことであり、継続しなければならないと認識しています。

第三に、すでにお知らせの通り、これまで8回に渡り連続でバスカフェへの直接的な妨害行為を続けてきた者に対して、接近禁止命令が出されました。これは、バスカフェを開催する日の19時~26時に有効となるものであり、バスカフェを開催しなければその効力を得ることができません。この接近禁止命令が新宿区役所から半径600メートルの広さで出たのは、バスカフェ周辺だけでなく、アウトリーチ活動を安全に行えるよう裁判所が判断したためです。私たちが安全にアウトリーチ活動を続けるためには、新宿区役所前でのバスカフェ開催以外にはあり得ません。

 

〇安全対策について

私たちはこれまでにも東京都に対して、バスカフェを妨害者から守り、安全に開催できるよう求めてまいりました。しかし、警察にも適切な対応をしてもらえなかったことから、改めて対応をお願いしています。

東京都からColaboに対して安全対策や通行の妨げにならないようにとの連絡がありましたが、Colabo側は一般歩行者の妨げになるようなことはしていません。そして、バスカフェに妨害に来る者が一般歩行者の妨げになることがないように、裁判所の接近禁止の仮処分を得ました。利用者の少女たちに危険がないように警備を強化し、弁護士やボランティアを適切に配置しています。それでも妨害者らによって違法行為が惹起されそうな場合には、速やかに110番通報して警察に臨場してもらえるよう、ボランティアが目配りしています。

これまで行われてきた妨害内容は、バスカフェの利用者に直接危害を加えようというものではなく、若年女性がバスカフェに来づらくなるように働きかけるもの、また、Colaboのスタッフやボランティアに妨害対応のために時間を取らせることでアウトリーチに出づらくさせたり、アウトリーチ中のスタッフにつきまとい質問攻めにすることでアウトリーチを妨害するといったものでした。

妨害者の中には、少女たちを性搾取して利益を得てきたものや、そうした者に指示されて動いている者もおり、本事業を通してColaboが若年女性につながることを阻止することを目的にさまざまな妨害をしています。これは私たちが本事業を通してこれまで積み重ねてきた成果故の攻撃でもあると考えています。東京都から、「アウトリーチの手法はバスカフェ以外にもあるのではないか」とも言われておりますが、夜の街で少女たちの命を繋ぎ、性被害から守るためにバスカフェ以上に有効な方法をご存じでしたらご教授いただきたいです。

東京都には、夜の街の現状や性搾取の構造を理解し、妨害に屈せず、本事業を守っていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。          以上

 

新宿区役所前での3月22日のバスカフェ開催、また4月以降の継続についての要望書


【弁護団声明】令和3年度会計報告に関する東京都の再調査結果を受けた声明

一般社団法人Colabo及び同仁藤夢乃代表理事弁護団

2022年11月4日付住民監査請求(以下「本件監査請求」)に対して2022年12月28日付で公表された監査結果(以下「本件監査結果」)において、監査委員は、監査対象局(東京都福祉保健局)に対し、2023年2月28日までに、「本件契約に係る本事業の実施に必要な経費の実績額を再調査及び特定し、客観的に検証可能なものとすること」等の勧告を出していました(以下「本件勧告」といいます。)。

Colaboは本件監査結果について(【弁護団声明】東京都に対する住民監査請求結果について)を公表しておりました。

2023年3月3日付で東京都監査事務局より、「東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求監査結果」における監査委員の勧告に基づき講じた措置について と題する文書((以下「本件再調査結果」といいます。)が公表されました。

本件再調査の結果、Colaboの会計処理に不正はないことが明らかになり、受託料の返還は一切求められませんでした。以下、重要な点についてご説明します。

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目次
はじめに(1頁)

第1 Colaboの会計に不正がなかったことが改めて確認されたこと(1頁)
1 Colaboの会計に不正がなかったこと
2 多額の人件費の持ち出しが確認されたこと

第2 本件監査結果において「妥当性が疑われる」とされた支出について、本件再調査結果は、妥当性を認めたこと(3頁)
1 本件監査結果における指摘
2 レストラン食事代、都外遠隔地での宿泊代について事業実施上の必要性が認められたこと

第3 「領収書の一部提示を拒否」と記載されている件について(4頁)
1 本件再調査結果における指摘
2  Colaboは女性のプライバシーを保護するための措置をとったこと
(1) 領収書記載の女性のプライバシー情報を保護する必要性
(2) 領収書原本の提示は行ったこと

第4 本件再調査結果についての各社報道がミスリーディングであること(6頁)

第5 今後について(8頁)

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令和3年度会計報告に関する東京都の再調査結果を受けた声明


【弁護団声明】「公金の二重受給」という事実誤認について

一般社団法人Colabo及び同仁藤夢乃代表理事弁護団

 

Colaboは、児童相談所からの一時保護委託で児童を預かることがあり、これについて自治体から一時保護委託費の支弁を受けています。

これについて、「公金の二重受給」であるという事実誤認に基づく一部政治家の言動や報道が見られますので、以下ご説明致します。

 

1.まず、これらの言動の前提には、基本的な用語・概念について、異なるものを混同する認識があるように見受けられます。

Colaboのホームページ掲載の活動報告書には「緊急時の保護・宿泊支援」という項目があり、ここには「一時シェルター」という文言があります。これは児童相談所の「一時保護委託」とは別のものです。

若年女性が一時シェルターにいても「一時保護委託」ではないという状況もありますし、「一時保護委託」を「一時シェルター」ではない場所で受けるということもありますので、完全に一致するものではありません。

また、Colaboの活動報告書に記載がある「一時保護」(緊急時の一時的な保護)、児童相談所からの「一時保護委託」、都の若年被害女性等支援事業の「短期保護」はいずれも異なる概念です。

なお、Colaboの活動報告書にいうところの「居場所づくり事業」と都の若年被害女性等支援事業の「居場所の提供に関する支援」事業も異なる概念です。

 

近時のColaboに対する事実無根の中傷の中には、このような、異なる用語・概念を誤って同一視した上で「重複請求」「裏帳簿」があると決めつけるものが散見されます。

 

用語・概念の意味を正確に把握した上でないと、名誉毀損や誤った報道となりかねません。

名誉毀損行為に対しては厳正な措置をとることとなります。

 

2. Colaboは、都の若年被害女性等支援事業で確保した居場所を利用して、児童相談所からの一時保護委託で児童を預かる場合があります。

これについて、「二重受給」であるとか、都の事業要綱に違反するなどという誤った見解を述べている議員がいます。

Colaboは、児童相談所から一時保護委託で預かった児童の支援にかかる経費は若年 被害女性等支援事業の経費からは支出していません。

都の要綱の趣旨は、全く同じ費用に関して複数の補助金をもらえないという意味ですので、この場合にも、なんら要綱に抵触するものではありません。

                                                              以上


「公金の二重受給」という事実誤認について

 

 


裁判費用カンパのお願い

一般社団法人Colabo

 

Colaboに対する事実無根のデマや誹謗中傷、活動への直接的な妨害が止まりません。

1月4日に東京都に対する監査結果が公表され、Colaboとしては当然の結果でありますが、不正がなかったことが明らかになりました。(詳しくはこちら

 

しかし、ネット上でのデマ拡散は止まらず、Colaboを揶揄し中傷する動画や投稿が大量に流れています。活動拠点を覗きに来たり、スタッフの自宅やシェルターの場所を特定し晒そうとするなどの行為や、12月末からバスカフェへの直接的な妨害も続いています。

 

1月18日のバスカフェでは、複数人の男性が押しかけ、入り口付近で大声で怒鳴る、出入りする女性やスタッフを撮影しようとする、それらの行為をやめるよう対応した弁護士に対し故意に肩をぶつけ威圧する、バスカフェのすぐそばに政党ののぼりを立てながらYouTube配信をして、こちらの様子を観察するなどの妨害があり、利用する女の子たちやスタッフにとって大変な恐怖となりました。(詳しくはこちら

 

このように、ネット上のデマや誹謗中傷に扇動された者による直接的な妨害も深刻であり、警備を強化しながらなんとか活動を継続していますが、安全確保が非常に難しく、スタッフや女性達が危険にさらされる状態が今も続いています。

社会的に弱い立場に置かれている若年女性や彼女たちを支える活動をターゲットにしたこれらの行為は、まさに女性に対する憎悪犯罪(ヘイトクライム)であり、断じて許すことはできません。

 

これまでにも公表している通り、私たちはこうした謂れなき誹謗中傷や妨害行為等に対して、法的措置をとり対応していきます。すでに複数の訴訟・訴訟準備を進めており、多くの費用がかかっています。こうした攻撃に対し、私たちはできる限りの法的対処をしたいと考えていますが、そのためには、みなさんのご支援が必要です。

 

この度、裁判費用のカンパを募ることとしました。たくさんカンパが集まれば、より多くの被害に対処することができるようになります。

今Colaboが受けている攻撃は、女性に対するヘイトクライムであり、声を上げる女性達や、女性支援団体に対する攻撃でもあると考えています。女性に対するヘイトクライムは許さないと、多くの方々に共に声をあげ、ご支援いただけましたら幸いです。

 

ご協力いただける方は、以下口座へカンパをお振込みください。

 

■口座情報

三菱UFJ銀行 渋谷中央支店

普通) 0976145

イッパンシャダンホウジンコラボ

 

※訴訟費用カンパはこちらの口座にお振込みください。これまで使用している活動全般へのご寄付用口座とは異なりますのでご注意ください。

※頂戴したカンパは、裁判に関する費用に充てさせていただきます。

※裁判の進捗や報告につきましては、随時HPやSNSにて報告して参ります。

 

〇デマや誹謗中傷、活動への攻撃の状況について、これまでの弁護団声明等も是非ご覧ください

Colabo及び仁藤夢乃さんに対するネット上の攻撃について(2022年11月20日)

Colaboとその代表仁藤夢乃に対する深刻な妨害に関する提訴記者会見を行いました。(2022年11月29日)

「Colaboと仁藤夢乃さんを支える会」が立ち上がりました(2022年12月2日)

東京都に対する住民監査請求の結果に関する一部情報について(2022年12月29日)

Colaboの生活保護関係等の業務について(2023年1月1日)

東京都に対する住民監査請求結果について(2023年1月4日)

Colaboによる若年女性の居場所事業への、深刻な憎悪犯罪(ヘイトクライム)に対する抗議声明(2023年1月22日)

 


【弁護団声明】Colaboによる若年女性の居場所事業への、深刻な憎悪犯罪(ヘイトクライム)に対する抗議声明

一般社団法人Colabo及び同代表理事仁藤夢乃代理人弁護団

 

1  はじめに

2023年1月18日、Colaboが、若年女性の居場所事業(以下「本件事業」といいます)の一環として新宿区役所前で行っている「バスカフェ」に対し、複数の男性による直接の妨害行為がありました。

インターネット上にまん延する荒唐無稽なデマや過激な誹謗中傷に扇動された本件妨害行為は、本件事業の現場に対する直接的な攻撃であり、困難を抱える若年女性たちとその居場所をターゲットとした、深刻な憎悪犯罪(ヘイトクライム)です。私たちは、これに対し最大限の怒りを表明し、断固抗議するとともに、速やかに所轄の警察署に被害届を提出する方針であることを明らかにします。

また、私たちは、インターネット上で繰り返される荒唐無稽なデマや過激な誹謗中傷こそが、このような憎悪犯罪を生み出す土壌であると考えています。私たちは、本声明において、憎悪犯罪を扇動するデマや誹謗中傷に加担せず、これらを非難するよう、全ての人々に対し、呼びかけます。

 

2 1月18日の妨害の実情

妨害の実情は以下のようなものでした。

① 男性3人でバスの至近距離まで近づき、バスカフェ開催場所にいるColaboスタッフに向けて「おい仁藤夢乃出てこい!」「仁藤夢乃!国民の金返せ!!大嘘つきが!!」「公金チューチュー!公金チューチュー!お前ら公金チューチューのスキーム作ってんだろ、この団体で!」などと大声で怒鳴り続ける。

② バスに出入りする女性やColaboスタッフにカメラを向けて撮影しようとする。

③ バスに出入りする女性を観察し、後日その人数や服装をTwitterに公表する。

④ Colabo代理人弁護士から、妨害行為をやめ、バスの近くから立ち去るよう求められても妨害行為をやめようとせず、「弁護士、懲戒処分するから」「どうせ裁判なんか訴えてこねえだろ!」「仁藤夢乃の住所、教えてくださいよ」「人数を水増しして国に申請してる」「詐欺なんだよ、コラボがやってることって」と怒鳴り続ける。

⑤ 110番通報によって駆けつけた警察官に仲裁され、いったん離れた後も再度バスに近寄ろうとし、それを制止したColabo代理人弁護士に対し、故意に肩をぶつけて威圧したり、触れられていないのにわざと自ら転んで、「弁護士に暴行された」と怒鳴る。

⑥ バスカフェを利用しようとする10代の女性たちの通り道(新宿区役所前)に、政党名ののぼりを立て、Colabo代理人弁護士から目的を尋ねられると、バスカフェに出入りする女性の数をカウントすることが目的であると述べる。

⑦ 迷惑なのでやめてほしい、政治活動なら別の場所でやってほしいと伝えられても、「政治活動の邪魔をするのか」と開き直り、大音量のスピーカーで政党の主張を流しながら立ち続け、バスカフェを撮影する。

 

なお、現場の動画はこちら(https://www.youtube.com/@Colabo00000)で見ることができます。

 

3  更なる現実の暴力への危惧とColaboへの応援のお願い

昨年来、Colaboに対するいわれのない、荒唐無稽なデマ、過激な誹謗中傷が止まりません。私たちは、デマや誹謗中傷が引き起こす直接の妨害行為を強く危惧し警戒してきましたが、本件妨害行為は、まさに私たちの危惧が現実化したものだと言えます。

 

注目して頂きたいのは、妨害者が発した以下の発言です。

「公金チューチューのスキームを作っている」

「共産党や立憲民主党など色々な政治家がからんでいる」

「この問題はColaboだけではない」

「人数を水増しして国に申請」

「やってることが詐欺」

 

これらの発言は、Colaboに対するインターネット上のデマ言説を、そのままなぞったものであることが明らかです。

 

「Colaboの会計に不正がある」との言説はデマであります。そのことは、2023年1月4日公開の住民監査請求結果で明らかにされています。

それにもかかわらず、Colaboに対するデマや誹謗中傷は、その後も止まりません。そして、デマや誹謗中傷に扇動された者たちが、若年女性を守るための現場に対し、直接的かつ暴力的な攻撃を加えてきたのが本件妨害行為です。この現状は、もはや一団体の誹謗中傷被害という域をはるかに越えています。

 

現在でも、インターネット上には、デマを信じてColaboを面白おかしく揶揄(やゆ)し中傷する動画や投稿が大量に流れています。Colabo攻撃は一種の「ネットの娯楽」になり、「Colaboを攻撃すると動画視聴回数が増える」という状況さえ生まれています(この状況に一部の政治家すら加担しています)。実際、Colabo代理人弁護士が妨害者に対し、「公金チューチュー」等の言葉を非難しても、妨害者は「みんなやってるじゃん!」と開き直るばかりでした。インターネット上のデマや誹謗中傷は、それ自体暴力的行動に出る心理的ハードルを下げると同時に、PV稼ぎ等、経済的な効果すら生んでいるのです。

 

インターネットに公開された本件妨害行為を見た人々からは「京都朝鮮学校襲撃事件とそっくりだ」という指摘が複数あります。ナチスドイツの「クリスタルナハト(水晶の夜)」を連想した人もいました。在日コリアンへの差別では、「在日特権」などのデマがネットで大量に流布され、在日コリアンへの危害を促す過激なデモが路上で繰り返された結果、それに扇動された人々が、京都朝鮮学校への襲撃事件や、ウトロ放火事件等、深刻な憎悪犯罪(ヘイトクライム)を引き起こしました。デマや誹謗中傷が犯罪の引き金になるのが憎悪犯罪の特徴です。

Colaboに対する攻撃もそれに似た構造を持っています。インターネット上にまことしやかに流されるデマや誹謗中傷は、特定の集団に対する憎悪をかき立てるとともに、「公金の不正を正す」という大義名分を身にまとうことで、直接的暴力に出る心理的ハードルを下げ、また、娯楽化による経済的な効果を生んでいます。

 

私たちは、本件妨害行為を憎悪犯罪(ヘイトクライム)と表現しました。憎悪犯罪は主に性的マイノリティや人種的マイノリティに対する犯罪を表現する語であり、女性に対する暴力等を表現する語としては必ずしも定着していません。しかし、本件妨害行為は、上記のとおり、過去に繰り返された在日コリアンへの憎悪犯罪と非常に似た構造を持っています。同時に、本件で攻撃のターゲットとされたのは困難を抱える若年女性たちであり、社会の最も弱い層に対する攻撃という点でも共通しているのです。本件の問題の深刻さを表現する語としては、「憎悪犯罪(ヘイトクライム)」以外に考えられません。

 

私たちは、既に、Colaboに対するいくつかの誹謗中傷に対して法的措置に着手しています。しかし、インターネット上にデマや誹謗中傷が拡散し続ける状況下では、いつまた現実の暴力行為が発生するかもしれません。

 

4 まとめ

以上のとおり、本件妨害事件は、インターネット上の荒唐無稽なデマや過激な誹謗中傷に扇動された女性に対する憎悪犯罪(ヘイトクライム)であり、インターネット上のデマや誹謗中傷こそが犯罪を生み出す土壌です。非常に危険な状態は現在も継続しており、事業の継続すら危ぶまれているのが現状です。私たちは、全ての人々に対し、憎悪犯罪を扇動するデマや誹謗中傷に加担せず、これらを非難するよう、呼びかけます。

 

ここで、本件事業の対象となる女性たちの「困難」を生み出したのは、今の社会であり、今の政治であることを、今一度想起して頂きたいと思います。若い団体であるColaboは、社会の生み出した困難を当事者たち(主に若い女性たち)の力で解決しようと立ち上がりました。私たち日本社会は、Colaboへの連帯を示すことで、社会が生み出した困難を社会の内部で解決する、力強さと気高さを示そうではありませんか。

以上

 


Colaboによる若年女性の居場所事業への、深刻な憎悪犯罪(ヘイトクライム)に対する抗議声明

 


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