【スタッフインタビュー】企業で働くことと、Colaboでの活動の違いとは? 活動を通して見えてきたもの
Colaboではどんなスタッフがどんな想いで活動しているのか。企業で働くことと、Colaboでの活動の違いや自身の変化について、活動3年目のスタッフに聞きました。
―Colaboではどんなことを担当していますか。
日々の事務局運営を担当しつつ、シェルターの整備、バスカフェや拠点での少女たちとの関わり、研修や支援者の方々とのコミュニケーション、能登での被災地支援などさまざまな活動を行っています。
―Colaboで活動する前はどんな仕事をしていましたか?
企業に勤め、8年程社長秘書をしていました。セクハラは日常茶飯事で、女性を軽く扱ったり、女性は奥に引っ込んでいる存在として扱われていました。表に立つことや、自分がやりたいことや言いたいことを発言できる機会はなく、影のように生きることや、男性たちの反応を気にしながら仕事をすることが当たり前になっていました。
それでも生活のために続けてきましたが、転職を考えていた時にColaboが求人募集していることを知り、男性のために力を尽くすのはもうやめたい、フェミニストのリーダーのところで活動したいと思い、応募しました。
自分にできることはないと思っていたので、自分が採用されるとは考えていませんでしたが、それでもできることがあるならなんでもするという気持ちで応募しました。
―それまでの仕事とColaboの活動との違いはありますか。
Colaboでは、自分の考えは?あなたはどう思う?と問われることが多くあります。それは今までの仕事では経験のないことだったので、はじめは戸惑いがありましたが、自分の意見や考え、こんなふうに感じているということを聞きたいと思ってもらえることが嬉しかったです。
秘書時代は、人の機嫌に左右されて動くことが多く、上司の機嫌が悪ければすべてが白紙になったり、スケジュールが全部飛んだり、関係先に自分が謝ることが普通だと思っていましたし、社長の一声で独断的に決まるということばかりでしたが、Colaboでは、目指す社会や団体としての在り方、活動の一つひとつについて、みんなが同じところを見ながら、達成するまでみんなでやるというところが全く違います。
一方で、企業では、大人数で業務を回していくために、いちスタッフに負わされる責任は小さくなっていますが、Colaboは少ない人数で多岐にわたる活動、それも出会う少女たちの人生に関わる活動をしているので、一人ひとりの責任が大きいです。自分の一つひとつの行動が重要で、少女たちや応援者の方々との関係性、Colaboの活動そのものに影響するということに覚悟を持って取り組むという部分では、最初はすごく緊張しました。
―それをどう乗り越えていきましたか。
一緒に活動している人たちがどうやっているのかから学んだり、自分ができないことがあったときにもどうすればよかったのかを一緒に考えてくれるので、次からはそうすれば良いんだと自分でも考えることができるようになっていきました。
会社員時代は、業務をこなすための表面的なアドバイスをしたり、されたりすることが多かったですが、Colaboでは、もっと深いところで少女たちともスタッフ同士も自分たちの姿勢やあり方を問うたり、一緒によりよくするための方法を考えたりしています。
―活動一年目、二年目はどのような時間でしたか。
一年目は自分が知らないことが多すぎて、活動についてもしっかり理解していなかったので、活動しながら知っていく時間でした。その中で、Colaboに対するデマ拡散や誹謗中傷など深刻な妨害があったため、Colaboが対峙しているものがどれほど大きなものなのかを実感し、だからこそこの現状を変えていく必要があることを強く感じる一年でした。
二年目からは、自分自身も一緒に活動を作っていく一人だと意識して活動しています。
―Colaboで活動して変わったことはありますか?
自分の人生を生きていけるようになったと思います。友達には「本来のあなたらしさが戻ってきた」と言われて、嬉しかったです。
私は結婚することが当たり前という価値観のなかで育ってきたので、自分もいつか結婚しなきゃとか、早くしなきゃという考えにとらわれていました。新卒で就職した企業の面接でも彼氏がいるかを聞かれ、就職後も「彼氏ができたの?結婚は?子どもは?」と聞かれる毎日でした。そういうことを言われなくなるなら結婚したほうがまし、もういいや、という感じで結婚しましたが、離婚したいとずっと考えていて、Colaboで活動する中で離婚に踏み切れたのも自分にとって大きな変化です。
Colaboでは、スタッフのおかれている状況も一緒に考えてくれて、日々声をかけてもらったり、怒りを言葉にしてくれたり、サポートもたくさんあったので、離婚することができました。
家に帰るとモラハラで「お前が悪い」と言われたり、そういう気持ちにさせられることがすごくあって気持ちが沈んでいったけど、Colaboで活動していくと自分が主体的になって取り組むことがすごく重要で、こんなこともやるんだ、私もこれやっていいの?と思うようなことがたくさんありました。そういうことを求められて自信がついていくので、結婚していなくても自分はやっていけるし、むしろそのほうが良い人生になっていくだろうという想像もできるようになりました。活動を通してそういう小さな自信を付けていくことが一歩踏み出す力になりました。
また、活動を通して自分の幼少期からの経験を振り返ったり、社会構造を見つめながら、自分はこういう状況だったんだな、自分の経験って女の子たちと一緒だなというように、今まで振り返らないようにしていた自分の人生を振り返るようにもなりました。
―活動を続ける理由はなんですか。
おかしいことが起きたときに「おかしい」と声をあげることで人と繋がり、同じ気持ちを持っている人たちに出会えることがとても嬉しいです。そういう風にして今までColaboは十数年も踏ん張り続けていて、これから性搾取をなくすために、もっと多くの人とつながりたいと思っているので、そういう想いを持つ人たちと出会ってつながっていくということが楽しみです。
女の子たちと出会ったり、一緒にご飯を食べたり、一緒に活動したりするなかでも、気持ちが通じる瞬間があること、言葉を交わさなくても通じる瞬間もすごく嬉しいですし、「Colaboの○○さん」ではなく、人として、人間として、当たり前のことを当たり前にできるような時間を一緒に積み重ねていけることを嬉しく思います。
それは、企業に勤めていた時には感じられなかった気持ちです。企業では、怒ったり、怒りを表明することはタブーで、特に女性に対してはそう。嫌なことがあっても怒ってはいけないというふうにみんなずっと思わされ続けています。でも、Colaboだったら、その怒りが重要だし、怒っていいし、その怒りをみんなで共有して力にしていく。そういうことを続けていきたいです。
Colaboで活動するなかで、社会に対して何かおかしいというようなぼんやりしたものから、社会構造を見つめ、こういう構造だからこういうおかしさがあって、それによって女性たちがこんな苦しい状況になっているんだと、見えるものが鮮明になってきました。そして、自分が抱えてきた怒りがなんだったのか、受けてきた扱いがどういうことだったのかを捉えなおすことができました。
この痛みを感じているのは自分だけではなく、多くの少女や女性たちが感じていることですし、だから変えていきたいという思いが強くなりました。
―今、Colaboでは求人募集をしていますが、どんな人に応募してほしいですか?
簡単な活動ではないので、覚悟を持って一緒に取り組める人。独りよがりでなく、自分ごととして考えて行動することができて、女性が性搾取される社会を変えていく、そこを目指して一緒にやってくれる人と出会えたら嬉しいです。
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「10周年記念誌 活動する人・支える人特集2021」でもこれまでのスタッフインタビューを掲載しています。