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スタッフコラム「鬼滅の刃、遊郭編におけるミソジニー」

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子どもが「鬼滅の刃をはじめから見直したい」というので、友達の家とかで勝手に見られるよりも、一緒に見てアレコレツッコミできたほうがまだマシだろうなと思い、見始めました。

ですが案の定、至る所にミソジニーがちりばめられていてキツかったです。たとえば、主人公の妹(12歳)が鬼と闘う時に筋力を発達させて身体が大きくなるのですが、意味不明に胸まで大きく描かれていました。

ですが、とりわけ酷かったのが悪名高き「遊郭編」でした。くノ一の妻が3人いるという忍者が登場して、その設定も最悪ですが、一夫多妻が否定的ではなくむしろ羨望の眼差しとして扱われていたり、妻が全員胸を強調し、ミニスカート的なものを履かされてお尻が半分見えている描写もありました。

また、花魁に化けていた「堕姫」という鬼は典型的なファムファタルとして描かれていました。上半身だけではなく、下半身もかなり露出していて、「パンツみたいなものを履いている笑」と子どもが指摘するくらい、あり得ない露出度です。

性的記号はもちろんですが、やはり一番あり得ないのが遊郭の描かれ方です。「堕姫」が人間だった頃は、「梅」という名前で、遊女だった母親が梅毒にかかっていたから名付けられたという無茶苦茶な設定ですが、そのくせ描かれていた遊郭の悲惨さは性搾取の話ではなく、そこで生きるたちの経済的貧困や迫害のみでした。

「堕姫」の兄も一緒に鬼になるのですが、主人公たちにやられる直前に妹のことを思い、「梅が普通の家庭の子だったら、良家の子だったら(こんなに苦労しなかっただろうから)良かったのにな」と妄想するのですが、その中に「普通に花魁だったら良かったのに」というのも入っていました。

極めつけは、主人公とその同志2名(全員男子)が女装をして遊郭に潜入するのですが、人身取引なのにそれを「就職決定!」とギャグ的に描写されていて最悪です。

アニメを見ながら逐次指摘を入れていましたが、ミソジニーシャワーが強過ぎて、その場面では全て捌き切れなかったので、見終わった後に日本のアニメの性的記号が中国や北米でどのような修正をさせているのかを見せました。

ですが、それでも遊郭の歴史的な扱いなど、年齢的にまだ理解が難しいものもあり、いつどのように伝えれば良いのか悩みます。

もう少し大きくなったら浄閑寺のような遊郭の凄惨さを伝える場所に社会科見学と称して行って伝えたいですが、ミソジニーコンテンツを量産し続ける制作側をどうにかしないと防ぎ切れません。個々の親の努力の限界をはるかに超えていると思います。

「そういう表現をやめろ」と皆で訴えていきたいと改めて思うと同時に、反性搾取を伝える教育を体系立てて作りこみ、包括的性教育の中にも反性搾取を入れ込むことが必要だと強く感じました。(スタッフ H)

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