コラム

女性人権センター

対談|第9回(後編)若林直子×仁藤夢乃「次の世代に負の遺産を残さないために、大人である私たちが持つ責任」―なぜ今、女性人権センターが必要なのか

SHARE

Colaboでは今、「女性人権センター」建設を目指してご寄付の呼びかけをしています。
この対談では、趣旨に賛同する「1000人委員会」のメンバーとColabo代表の仁藤が、「なぜ今、女性人権センターが必要なのか」をテーマに、性差別の現状を見つめます。

(前編)「『あの時、こういう場所があれば」』を実現するために」はこちら 

「見ないふり」を変えるための意識改革

仁藤:Colaboが出会う少女たちが性搾取されている状況についてどのように見ていますか?

若林:申し訳ない気持ちでいっぱいです。

仁藤:大人としてこの状況を変えるためにどうしたらいいと思いますか。

若林:私は広報の仕事をしているので、人々の意識を変えるようなことを考えなければいけないというのを自分の責任としてやっています。周りのメディアの女性たちも何とかしようという人が多いので、その人たちと一緒にもっとやれることをやっていく、こっちから、あっちから、みたいな感じで今進めているところですし、もっとがんばらなきゃと思います。

あとは、それによって妨害があったでしょう。東京都がなんでそれを引き下げるの?とびっくりしたんだけど、とはいえ東京都もマニュアルがあって、例えばクレームの電話がかかってきたらあっちが切るまで切っちゃいけないというルールがあるかもしれないし、そうすることによってその職員が病んでしまう。

仁藤:担当者の女性はすごく想いがある方だし事業の現場も見て交流していて、気持ちがある人だったんですけど、クレームがひどくなったらそういう人が電話担当をさせられて、あっという間に真っ白髪になって健康状態も悪そうな様子になってしまって。そういう想いのある人たちが妨害によってどんどん疲弊していくのを目の当たりにしたし、私たちも要望するときにその人に言わなきゃいけなかったり、その人も本当は違う考えを持っていると思うのに、東京都として嫌なことを言わされたりしているのを妨害の過程で実感しましたね。

若林:組織のマニュアルも変えなきゃいけないし、そのために私はクオータ制で女性の政治家を増やすべきだと思ってます。決定権にある女性を増やしたりすることによって、男性は男性で大変なこともあると思うけど女性ならではの視点で言えることがあると思うから。今、女性リーダー支援基金というのを浜田敬子さんとやっているけれども、それは中長期的な話になっちゃうから、今すぐできることはなんだろうともいつも考えてます。

仁藤:性搾取の問題というと、すごく大変そう、闇深そうみたいなイメージがあって躊躇したり、重い、責任を感じるのがつらいといってそこを見たくないと思ったりする人もすごく多いと思います。でも若林さんは大人としてごめんねということは責任を感じている。

妨害がひどい中で誹謗中傷が吹き荒れていたとき、最初は私たちもデマを流している人たちの目的がよくわかっていなかったので、そのデマに対して事実を説明しようと頑張りました。でも加害者たちはデマを流して注目されることが目的だったので、説明をいくらしても追いつかない、変わらないことに気づきました。デマがこれだけ現実の支援事業に影響をもたらすというのは深刻な状態だと思いつつ、世界的にもミソジニーによる女性支援への攻撃が増えている。そういう状況に怯えちゃうとみんな声を上げられなくなってしまう。だからみんなが繋がって、大事な問題だから一緒に取り組もうよという風に堂々とやっていればそういう人も攻撃しがいがないだろうと思っています。

若林:本当にそう思います。後は海外の先行研究で、例えば女性が決定権のある地位につくことによってみんなのウェルビーイングが良くなるという調査結果も出ているんです。だから大丈夫ですよ、男性のみなさん。

仁藤:権力とか地位にしがみつかないでもいいって思えたらいいですよね。今そういう妨害が強くなっているのは、フェミニズムや女性たちの声が社会を変え始めてることに対するバックラッシュでもあります。

若林:そう思います。

バトンをつなぐ少女たち――支えられた少女が支える側へ

仁藤:私たちが活動を始めた頃も、家に帰れない子どもたちがいることやそういう子たちが路上で被害に遭っていることが見向きもされませんでした。メディアの報じ方も全部「身体を売る少女の闇」みたいな。

若林:そうなの!加害者が悪いのにこっちに取材してって思う。

仁藤:2016年に『私たちは「買われた」展』をやる前はもっとひどくて、「少女の性道徳が乱れている」という感じで、少女のせいにした報道もすごく多くて。だからこそ「私たちは『買われた』」んだと表現しました。それは少女が言い始めたんです。どういうタイトルにするかを話し合った時に、「売ったというよりも買われたという感覚だった」というメンバーの言葉から、『私たちは「買われた」展』に決めました。これなら買春者の存在を可視化できるということで。それで少しずつメディアも報道の仕方が変わってきた。それでも当時、「売春少女の背景」というタイトルを付けてきたメディアもあって。

若林:最悪。

仁藤:そういうものにも一つ一つ私たちは抗議しています。

2024年以降は、能登の被災地支援にも行っていますが、若い少女たちが必要なものって全然被災地には届いてなくて。能登では女性が必要としてるような女性用の下着、生理用品、衣類もなくて。私たちが少女向けのものを持っていくと、おばあちゃんたちも含めて、わーって集まってきて「私にもちょうだいちょうだい」「私でもこういうの着られるのよ」と言ってきた。避難所には、老若男女問わず着られるようなダボッとしたようなTシャツしかなかったから、少女たちに持って行ったカラフルな色の服があると、「私もこういう鮮やかな服着たい」と言っておばあちゃんたちが集まてきました。

私たちは少女たちに必要なものを届けようと思って、少女たちが普段使うものを持っていきました。例えばトイレに行く時のハンカチやナプキンを入れるようなポーチも可愛いサンリオのものや自分の好きなキャラクターだったら「これは私の」と思って気分が上がるし、髪の毛がさらさらになる櫛や鏡も欲しいじゃないですか。でも、そういうものを安心して遠慮なく少女たちに選んでもらえるようにするには、大人の女性たちにも別のコーナーを用意して物品を渡していく必要がありました。避難所で女性たちが必要なものはないことにされているためです。

少女たちに届けるために、「学校でカフェをさせてもらえませんか」と言ったとき、最初は学校の校長先生もほとんどが男性の方なので「うちの女子生徒は困ってるものはないと思います」と断られました。その理由は「別の団体がくれた物資の下着を学校に置いておいたのに誰一人持っていかなかったからうちの生徒は困っていない」というものでした。でもどんな下着だったのか、どんな環境で配布したのかが大事じゃないですか。自分たちはきっと少女たちが必要としているだろうという、少女たちが普段使いしているものを揃えていたから、がんばって交渉しました。すると、先生たちは生徒の反応を見て、震災後こんな笑顔を初めて見たって。「私は子どもたちに本当に必要なものが本当に分かっていなかったです」と言ってくださいました。

取材に来たメディアの男性が被災地支援のColaboの記事を書いた時に、「女子力アップで気分転換」という見出しをつけたんですね。私たちは「女子力」のためにやってないし、そのような言葉で女性にあるべき姿を押し付けることに反対しています。学校で少女向けに活動していると、男性教員の中にも「女子だけずるい」「女子は手間がかかるな」と嫌味を言いながら会場を通り過ぎていく人もいたんです。そういうこと一つ一つにも「そうじゃない」と、分かってもらえるように説明しなきゃいけない。問題を指摘して考えてもらうというか、変えていくことを続けないといけないのは、日本社会がジェンダー不平等だからです。

若林:大変だけども、言い続けないと。次の世代のためにも、あるいは私がすごく嫌な思いをしたときにあったことを繰り返さないためにも。浜田さんもよく言っているけど、残さないようにやれること、というかやれること以上のことをやらないといけないなと思います。ぜひ一緒にやっていきましょう。

仁藤:今の日本の、女性の人権活動に対する攻撃がのさばる状況がひどいとは思いつつも、私たちがこ今こうやって話をしても殺されずに生きているのは、やはり女性たちが一緒に闘ってくれたからだと思っています。今Colaboで出会っている少女たちのなかに、出会って何年かして生活が落ち着いてからColaboでボランティアしたい、一緒に活動したいと言ってくれることがあります。彼女たちが「声かけチーム」というのを作っていて、バスカフェを開催する時に声かけを担当してくれているんですね。

Colaboは支援団体ではなく、当事者運動で、当事者たちが自分たちに必要だったことを自分たちで形にしてきました。そのため、いろんな活動を少女たちと一緒にやってきたんです。当時はまだ前例がなかった少女たちが自由に利用できるシェルターの開設も、みんなで届いた段ボールを開けてセットしたり、組み立てたりベッドを作ったりするのもいつも自分たちで、少女たちとやってきたんです。でも、2018年にバスカフェをスタートした時、さすがに夜の歌舞伎町は危ないかなと思って、私からは彼女たちに声をかけていなかったんです。そうしたら彼女たちの方から当たり前のように「え、やるでしょ?」と言ってきたから、「あ、そっか、やりたいよね、やろう!」となって。どうすれば安全な体制でできるのか考えて、年上のスタッフと若い子たちがペアになってやることにしました。それが代々続いています。「自分たちがした経験を下の世代にさせたくない」という想いで関わっている子が多いのですが、それを18、19歳くらいの子たちにも言わせている状況があるということです。そうやって想いを持って彼女たちが一緒につないでくれることは、心強いし嬉しいなと思いますが、大人たちが本来の責任を果たさなければなりません。

痛みや怒りを共有してつくる「つながり」

仁藤:女性人権センターに賛同する理由はなんですか。

若林:Colaboがやっていることだからもう、それだけで賛同したいと思ったんだけれども、具体的な中身を見ると居場所もすごく大切に、細かく考えられていると思ったのと、「私たちは『買われた』」展の常設展もいいと思いました。

仁藤:性搾取ライブラリーを作って、女たちの闘いの歴史を学べる、触れられる場にしたいとも考えています。闘ってきた女性たちの人生を知り、力をもらえる。そして性搾取の現状についても理解を深められるライブラリーを作りたいなと思っています。

若林:ぜひやってほしいしいろんな人に見てほしい。韓国へ行った時に「戦争と女性の人権博物館」があって、そういうのをここでやるんだ、さすが目の付け所がいいっていうのはすごく思いましたね。

仁藤:「慰安婦」にされた女性たちを、性奴隷にされた女性たちとして記憶する韓国のミュージアムですね。「私たちは『買われた』展」も、「慰安婦」にされた女性たちへの共感からはじまりました。2015年にヤン・バニング写真展という、インドネシアで日本軍の「慰安婦」にされた女性たち、ハルモニ(おばあさん)たちの写真展が日本であって、Colaboとつながる女性たちと一緒に行ったんですよ。少女たちは「慰安婦」問題とか聞いたこともない状態で行って、ハルモニたちが被害を告発している展示を見て震えながら、「私と同じじゃん。」と言ったんですね。

その時はまだ#MeTooはなかったけど、その少女たちが「慰安婦」にされた女性たちの声を上げている姿を見て、自分たちもこんなふうに声を上げたいと立ち上がって、写真を使った企画展『私たちは「買われた」展』につながったんです。私は韓国で「慰安婦」にされた女性たちにご存命だったときにお会いしたことがあって、その方々もColaboの活動をすごく応援してくださっているんです。「慰安婦」問題は過去の話じゃなくて現代の性搾取と構造的につながっています。それを政府が認めてないような社会では性搾取の現状に対してまともに正面から向き合おうとしないというのは当然の状況なのだと思っています。だからこそ、なかったことにしないで、女性たちの被害も闘いも記憶して次の世代につないでいきたいです。

なんで今、女性人権センターを作らなきゃいけないと思ったかというと、まず、Colaboが深刻な妨害を受けて行政もそれに屈して支援をやめたという状況があります。さらに今後政治もますます悪くなりそうだし、排外主義も広がっている状況で、今女性たちで連帯して立ち上がらなかったらこの先5年後、10年後、20年後、私が若林さんぐらいの年齢になった時に、どんな社会になっているのかが本当に心配だからなんです。バックラッシュを跳ね返していくような動きに変えていくためにも女性たちの連帯をもっと強めていきたいなと思っています。

若林:このインタビュー企画、すごく良いと思います。私もだけど、出られている方が改めて、自分はどうしてこういうことがしたいんだろうと言語化するいい機会になるし。

仁藤:さまざまな立場にある女性たちが自分たちと同じような経験や痛みがあって、悔しい思いもしながら諦めないで歩んできた。そういう思いの人たちがたくさんいることがわかります。女性人権センター建設のプロセスでも、お金を集めることはもちろん必要なんだけど、それ以上に、痛みや怒り、そういう思いを共有して一緒にやっていくつながりを作っていきたいなと思います。

若林:他の方のお話も楽しみです。みなさん、自分の経験と引きつけながら性差別や性搾取の現状を考えてくださって、Colaboの活動の必要性や意義をみなさんの視点からも言葉にしてもらえて、そうだよなと再確認しながら一緒に歩いていけたらいいなって思います。

仁藤:女性人権センターには、どんなことを期待していますか?

若林:2025年の8月ぐらいに、大阪の北区で、24歳ぐらいの女の子が公園で生まれたばかりの子供を遺棄した出来事がありました。その子は結局逮捕されて裁判の時に「誰に相談していいかわからなかった」ということを言ったんですよね。それが本当に辛くて、その子だけの問題じゃないし、相手は何してるんだと思ったし、私もその同じ立場だったら誰に相談していいかわからないと思う。もし彼女が、CAPを知っていたら、人権センターみたいな場所があったら、と思ったんです。だって、彼女は逮捕されて一生背負っていくわけじゃないですか。そういう意味でもみんなでちゃんとこういうところを作らないといけないなとすごく思いましたね。

仁藤:女性たちが困った時に思い浮かぶような場所になったらいいなと思っています。Colaboにも妊娠の相談はものすごく多くて、でも相談に来る時点ではもう産むしかないような状況、中絶できない時期に入っているような人も多いんですよね。実際にもう臨月に入っていてやっと相談してきた高校生の子もいて、親には言えないし学校でも気づかれてなかったと言うんです。周りの大人たちは見ぬふりをしていたんです。もうお腹も大きい状態でバスカフェに来ました。でも、その子も相談するのに勇気がいるから、実はもっと初期、「妊娠したかも」っていう時にもバスカフェに来ていたんですよね。でもあまり積極的に話しかけてくるようなタイプの子じゃなくて、静かに過ごしていたから、私たちもそんなに積極的に声をかけてはいなかったんです。それで、話せなかったのでしょう。

その時はコロナ禍で、バスカフェに1晩(4時間)で10代の女性たちが70人くらい来ていたのでバタバタしていて、「夢乃ちゃん忙しそうだし」と思ってその子も遠慮させてしまいました。妊娠初期に何回か来ていたけど、私たちも気付けないままになってしまいました。本人も妊娠したと信じたくない気持ちもあって、そのまま臨月になったのです。

出産し、子育てもしている若年女性とも日々関わっています。その子どもたちにも一緒に関わっているんですけど、いつでも立ち寄ることができて、暇そうに見える支援者みたいな人がいることが大事です。妨害を受けてその対応でこの4年間本当に忙しくて必死だったし、少女たちも妨害を目にして「夢乃さんいつも大変そう」と思って遠慮して言えなかったことが他にもきっとあったと思うんです。ほっと一息つきながら、日常の会話の中でポロっと、本当は言いたいことを試しに言って反応を見ながらだんだんしゃべるようになるっていうのは、大人が友達に相談する時もやっていることだと思うんですけど、そういうことが自然にできるような場所にしたい。

風俗にいる女性が妊娠して、子どもをどうしたらいいかわからなくて遺棄して逮捕される事件もすごく多いです。そういう事件があるたびに、女性ばかりが責められますが、そもそもその女性はなぜ体を売らなければならなかったのか、女性に射精した男の責任はどうなのかということも問われない。そういう問題があった時、韓国だと女性団体がみんなで声を上げて女性を犯罪者扱いするなとデモをやったり、政府と交渉したり何百団体で抗議したりしているんですよね。だから今、同じような思いで女性たちが集って、女性人権センターをつくる過程で連帯を深めて、そういう事件があった時にみんなで抗議できるような動きを作っていきたいなと思っています。

若林:素晴らしい、ぜひやりましょう。この前もすぐに記者会見してたよね。

仁藤:大久保公園周辺の路上に立っていた4人の女性が逮捕される瞬間を、顔出し実名報道でされました。一番若い女性は20歳でした。人権団体がサポートに入っている人たちでした。路上で体を売る状況にある女性たちには、ホストに借金を背負わされたり、グルーミングされたり、いろいろな形で支配や暴力の中にいるという背景があります。障がいがある人や、子育てのためにお金が必要という人もいて、複合的な困難の中で「彼氏」や「友達」、性売買業者などの第三者に管理され、支配されながら体を売っている人もすごく多いんですね。GPSをつけられて管理されて、お金は全部男に回収されていることもあります。まっとうな人権意識で見れば人身売買の被害者なのに、そういう少女や女性たちを犯罪者として捕まえること自体おかしい。

日本では売春防止法で、「売春」することと買うこと、どちらも違法行為となっているんだけれども、女性だけを罰する勧誘罪があります。女性だけがいつも捕まって買春者処罰が全然ないので、買う側もやりたい放題な状況で女性だけ晒される。報道でも女性は顔と名前を出されているのに、買いに来ている男たちは全部モザイクされていて、それも日本の女性差別の状況を表していると思います。

若林さんの会社時代に、買春自慢している同僚はいませんでしたか?

若林:いた!今それを思い出していた。すごくたくさんいましたよ。メディアのバンコク支局の知り合いと話していたら、「メディアや商社の男にとって天国なんだよね、夜のバンコクは」みたいなことを私に普通に言ってくる。10年ぐらい前に「3000円で買えるんだよ」って言ってきて最低って思って。報道が偏るのって、そういう人たちが報道しているから、自分たちも気まずいんじゃないですか。

仁藤:今、ColaboのことやColaboが受けている被害、Colaboが取り組んでいる性搾取の実態をメディアの女性たちが取材して記事にしようと一生懸命頑張ってくださっているんですけど、上に通すのが難しかったり、嫌がられたりする現状があるみたいで。その一方で「ルポ路上売春」みたいな昔ながらの男のロマンみたいな、「過酷な状況の中で体を売っている女性たち」みたいな感じでセンセーショナルに、それも彼女たちの選択だという感じに男性記者が書いたようなものがルポとしてすごく人気になっている。私たちが見ている現実、当事者から見ている目線とは全然違う男目線の記事ばかりが、特に性売買の問題については流れ続けているなと思いますね。

だからこそ、買春が女性に対する人権侵害だという認識を日本でも広めたり、買春行為を処罰する法律にして需要を断ったりすることが必要なんです。フランスや韓国でもそういう法律があって、フランスの方に聞いたのは「買春者処罰ができたことで市民の意識が変わった、堂々とそういう話ができなくなった」と言うんですね。日本もそういうことの実現に向けて動かしていきたい。

若林:本当、すぐやろう。

入口は違っても、問題の本質を知るきっかけに

仁藤:若林さんはこれまでいろんなプロジェクトを立ち上げたり経験されてきたりした中で、こういう取り組みで社会が変わったなと感じることはありましたか?

若林:大阪で生まれつき茶髪の子が黒髪に染めろと言われて裁判を起こした件で、まずは校則の実態調査をして、どれだけ理不尽な校則があるのかを可視化して記者会見を開きました。それによって政治家が国会で質問してくれたり、大阪でも当時すぐに4割の学校が校則の見直しをし始めたりしたことがありました。

あとは、外国人差別問題の取り組みをした時ですね。その問題はそれまで全然知られていなくて、私も知らなかったんです。すると、ある人から「記者会見をやっても全然興味を持ってもらえない」「弁護士さんが登壇して難しい言葉で喋ってもわかんない」と言われて……。その問題をどうにかしなきゃと思っている心ある著名人の方々に声をかけたらいいよ、とアドバイスをくださったんです。すると、芸能記者さんとかもその人が出ることをフックに来てくれて、会見場がすごい人数になったんですよね。来てくれた記者さんはその著名人目当てで来たんだけれども、その話を聞いたらこんなことが起きているんだ、と初めて気が付いてくださいました。それからもずっとこの問題について追ってくれていたことがありましたね。

仁藤:Colaboでは攻撃をされた時に企業からの支援が一気に引いていったんですけど、それは広告の仕事とかをしていると仕方ないなと思いますか?このバックラッシュが吹き荒れる中で、女性差別の問題や搾取に抗う活動を支援したい企業の方からも支援をいただきたいと思っているんですけど。

若林:骨のある企業だったらちゃんとやってくれると思いますけどね。企業としてなぜこれを自分たちがやっているのかというところを、お互い事前にしっかりと話し合って、何があっても問題ないよねという気骨のある経営者だったら「そんなの絶対やめない、むしろチャンスよ」くらいな感じで言うと思うし、そういう経営者が増えていると思うので、今、一生懸命「1000人委員会」をやってるから、委員会の方たちに紹介してくださいって言ったらいっぱい出てくると思いますよ。

仁藤:ぜひ紹介してください。私たちも今まで現場の活動にいっぱいいっぱいで、支援者の方とのコミュニケーションに時間を使えない状況が続いてきていて、これからどうやって活動を続けていくかと考えた時に、企業の人も含めて多くの女性たち、応援者を増やして、一緒にこの現状に取り組んでいきたいと思っているので、そういう企業の方にもぜひ一緒に参加していただけたらいいなと思っています。

若林:それですぐ撤退するようなところはその程度だと思っています。

仁藤:闘う企業の女性たち、闘う企業の社長たちもご存知ですか?

若林:知っていますし、それって健全な社会のあり方だと思うから、それをやらない方がおかしいですよということ。

仁藤:そういう価値観になってもらえれば良いなと。

若林:別に男の人が排除されるわけではなくて、みんなが幸せになる。例えば女の子のお子さんがいるお父さんもいると思うんですけど、子どもの将来は幸せなものであってほしいと願うでしょうし、「みんなが幸せになることだからやりましょう」と言うのに、乗らないのはもったいないですよ、ぐらいのことは言っていいと思います。

仁藤:ぜひ企業の方も女性人権センターのプロジェクトに参加してほしいなと思います。PRのために寄付したいことではなくて、本質的な理解をしてもらうことが可能でしょうか。

若林:私はPRのためという入り口でもいいと思っているんですよね。そういう人って結構多いけど、先ほどの記者会見の話もそうだけど、「著名人の方に来てもらってそれをフックに」と言ったけど、記者の人もそんなの目当てで来たわけじゃないけれども、来たことによって「あ、こんな問題があるんだ」って気づくし、それは企業の人も一緒だと思うんです。私も前にNPOに行った時に、そういうPR目当てで来た方で「こんな問題知りませんでした」という方がいっぱいいらっしゃいました。それでもどんどんいろいろな人を紹介してくれて、最初は違う目的だったけどかかわってみて初めて気づく人はすごくいるから、それもいいと思いますね。

仁藤:Colaboの活動は難しそう、大変そうと思われることもあるけど、「今まで知らなかった自分がダメだから関わっちゃいけないかな」と思うんじゃなくて、むしろそういう方も積極的に参加して学びながら加わってもらえればいいなと思います。ぜひこれからもそういう広がりを一緒に作っていただけたらと思います。最後に、女性人権センターの建設プロジェクトの実現に向けて10億円をこれから数年間かけて集めなきゃいけないんですが、メッセージを一言お願いします。

若林:私もそうなんですけれども、企業で勤めた経験のある方っていろいろなセクハラに遭ったり、女性だからといってガラスの天井があったりすると思うんです。でも女性人権センターができることによってみんなが集って一緒に頑張っていこうと思えるきっかけになるし、小学校、中学校の頃みたいに自分自身がまだ幼くて、すごく嫌な目に遭っても誰にも言えなかった経験って少なからず皆さんお持ちなんじゃないかなと思うんですよね。そうした時に、みんなでそれを共有して頑張ろうねって言える場所、親にも知られたくない時にそういう場所があるのは本当にありがたいことだなと思います。ぜひみんなでそういう場所を、今後そういう思いをする女の子たちがいなくなるように一緒に頑張っていきましょう。

女性人権センターの設立に向けたご寄付を募っています。 

ぜひ、この記事や動画をシェアして応援者を増やしてください。

「女性人権センター」建設プロジェクト 寄付キャンペーン第二回実施中!

社会からの攻撃・妨害に屈しないための女性運動の拠点「女性人権センター」を建設します。
2030年の完成を目指し、現在寄付キャンペーンをおこなっています。「女性人権センター」設立に力を貸してください

詳しく見る

SUPPORT

共に声を上げ、
社会を変える

仲間になりませんか

少女たちを追い詰める社会構造を変えるため、共に声を上げ、共に闘う仲間を募集しています。