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生活ニュースコモンズ掲載│「売春防止法」の見直しから見落とされた「女性の人権」 一般社団法人Colaboが緊急院内集会

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法務省「売買春に係る規制の在り方検討会」における報告書の取りまとめを前に、2026年9月3日、参議院議員会館1階講堂で「【緊急院内集会】売春防止法の見直しで、何が見落とされているのか――日本の性売買の実態から考える、人権と支援・法のあり方」を開催しました。こちらについて、9月9日の生活ニュースコモンズが報じました。

なぜ女性の処罰規定を残すのか

Colabo代表理事の仁藤夢乃さんは「性を買う側の責任や売る側の支援が議論されたことは前進だが、最も問わなければならないはずのことが置き去りにされている。それは性売買をめぐって誰に責任を負わせて、誰の何を守る法律にするのか、ということだ」と話しました。

法務省の報告書案では売る側を処罰する条文を維持し、買う側については路上の勧誘は処罰の対象となるとしたものの、買うことそのものを罰する規定は盛り込まれていません。また、保護法益(法律で守られる利益)について「人としての尊厳」を中心に据えるべきだという意見が出されたものの、性道徳や社会の善良な風俗を守るという目的を維持すべきという観点から、抜本的な見直しには至りませんでした。

また、自らの意思で性を売っている女性がいることを理由に、女性を処罰の対象から外さないとしました。

仁藤さんは「誰が自発的に売っていると切り分けられるものではない。検討会の委員は性売買を女性の自発的な選択や労働と捉えている。しかし、問わなければならないのは、なぜ女性たちが性を売らなければ生活できないのか。なぜ社会保障が支えられないのかということではないか」と話しました。

現状でも売春防止法5条の勧誘等罪で逮捕された女性はほとんどが不起訴となり、支援の対象になっています。しかし、それならなおさら女性の処罰を残す必要があるのか疑問です。

検討会では支援は売春防止法ではなく、2024年に施行された困難女性支援法で行うことができるとしました。仁藤さんは「現状は、かつて売防法に存在した処罰と保護更生を二つの法律に分けて再構成した形になっている。しかし、女性支援法は女性を権利の主体として位置づけた。売春防止法でも権利の主体と位置づけるべきだ」と指摘し、韓国が脱性売買のために行っている全国90拠点での女性への公的な教育や就労支援の取り組みを紹介しました。

臓器売買や人身売買は禁止 性売買はなぜ容認?

Colabo理事で弁護士の角田由紀子さんは検討会の議事録を読み、「現場の実態を知らずに議論をされている。性売買の本質は女性に対する暴力である。問題の核心を外したことで、何回議論しても間違った結論にしか達しない」と批判しました。

特に買う側への処罰が盛り込まれなかったことについて、「大山鳴動してネズミ一匹も出てこなかった」と厳しい評価を下しました。

売春防止法は70年前の1956年に制定。角田さんは制定時の議論を引きながら「当時も今回の検討委員会も、ほぼ例外なく(性売買に)介入するお金の存在を無視している。夫婦や恋人間のプライベートな行いと同じ性質を持っているのであれば、なぜお金が介入するのか」と問いかけました。

2023年の刑法改正で強制性交等罪が不同意性交等罪に変わり、同意しない意思を形成・表明できない状態では「同意があるとはいえない」として8類型が明記されました。その中には「経済的・社会的な地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」とあります。角田さんは「性を売る側と買う側。権力勾配のある2者の間にはそもそも『同意』は成立しないと考えるべきだ。金という絶大な力を行使して、性行為への同意を求め、屈服させることはまごうことなき、人への支配であり、暴力というしかない」「臓器売買や人身売買は人間の尊厳を売り買いすることにつながるので禁止されている。ではなぜ性売買は禁止されないのか」と強く疑問を呈しました。

「女性が自発的に売る」は歴史的なカモフラージュ

Colabo理事で法政大学元学長の田中優子さんは日本の性売買の歴史について、解説しました。

「文献上は900年の歴史がある。最初から業者がいた。遊女は自発的に性売買できない。業者が政治家と結託してやってきた。江戸時代には巨大な遊郭が日本中にできた。これが世界的に批判され、明治政府は1835年に芸娼妓解放令を出した。しかし、業者は次の年には遊女が自ら経営する貸座敷という制度を作った。仕切っているのは業者だが、女性が自己責任で自発的に性を売っているというカモフラージュが意図的に作られ、以来ずっと続いている」

田中さんは、「妻が夫のために奉仕し、娘が親のために身売りする」のを美徳とする価値観を挙げ、「もうやめましょう。ちょっと貧しい、困難がある女性は売春すればいいというのでしょうか? どういう暴力と病気にさらされているのか、事実を知って現実を見ましょう。私たちは、業者が握るお金の恩恵にあずかっている権力者を暴かなければならない」と訴えました。

私たちは「春」など売っていない

「性売買経験当事者ネットワーク灯火」のメンバーは、動画によるスピーチを寄せました。

そもそも「売春」「買春」という言葉は性購買者の立場を反映したものです。買う側にとっては自身の快楽やストレス発散で、「春」のように暖かく気持ちよく感じられるのでしょう。お金を払って欲望を満たし、その後は元の日常に戻れます。一方、買われる側は生活のために身体を差し出し、望まない人との望まない性的行為による痛みや恐怖に耐え続け、心も体もボロボロになり、行為が終わっても被害は日常に残り続けます。体調不良が常態化し、続けるほど普通の生活は遠ざかっていきます。性売買は対等な取引ではありません。お金を持つ人の性欲や支配欲を満たすために生身の人間から人格を剥奪し、虐待する行為です。私たちは「春」など売っていません。

(中略)

新たな法律では「人の尊厳 身体の安全」「性的搾取からの自由」「ジェンダー平等」を中心的な保護法益にしてください。
そして、性を買われる側の位置づけを取り締まりの対象ではなく、権利を保障される主体に転換してください。
その上で、私たちは新たな法制度に6つのことを望みます。
「性を売る側の完全な非処罰化」
「性購買者の責任明確化と処罰」
「性売買から利益を得る第三者の規制と利益の回収」
「脱性売買支援の権利としての保障」
「スティグマ及び二次被害の防止」
「政策形成への当事者参画及び継続的な実態調査」。
以上を実現し、誰もが性売買をせずに生きられる社会を目指すことを望みます。

性売買を最後のセーフティネットにしないで
私たちにも安全な家で眠る権利があります。受けられなかった教育を受け、暴力のない職場で働き、人と信頼関係を築き、性を売らずに生きる権利があります。性購買、性売買をビジネスとすることをどうか許さないでください。追い詰められ、性を買われ、傷つけられてきた人を「自発的だったか」で選別し、罰する法律にしないでください。私たちに必要なのは「本当に自発的だったか」を審査されることではありません。もう性を売らなくていい、体を売らなくていいと社会から保障されることです。性売買をこの社会の最後のセーフティネットにしないでください。誰もが性を売らずに生きられる権利を保障する法律を作ってください。

「売春防止法」の見直しから見落とされた「女性の人権」 一般社団法人Colaboが緊急院内集会(生活ニュースコモンズ)


性を売る女性を処罰するのではなく、性売買のなかにある力関係や搾取の構造、そして買う側・利益を得る側の責任に目を向けることが必要です。ぜひ院内集会の後日配信をご覧いただき、周囲の方にもこの問題について伝えていただければと思います。

▼当日アーカイブ動画と配布資料はこちらから
https://colabo-official.net/info/news/20260903.html

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