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女性人権センター

Colaboでは今、「女性人権センター」建設を目指してご寄付の呼びかけをしています。
この対談では、Colabo代表の仁藤が女性人権センター建設に賛同する「1000人委員会」のメンバーと対談し、「なぜ今、女性人権センターが必要なのか」をテーマに、性差別の現状を見つめます。
第三回目のゲストは、モード・オリビエ(Maud Olivier)さんです。
オリビエさんはフランスで県議や市長を務めた経験があり、国会議員として買春者処罰法を導入する際に中心的な役割を担ってきました。フランスでは「北欧モデル」とよばれる買春者処罰法が導入されているので、フランスの状況をお聞きしたいと思います。
オリビエ:夢乃さん、そしてColaboのみなさん、私を迎えてくれてありがとうございます。性を買う側を処罰するというフランスの法律の説明をするために、そして私と夢乃さんそれぞれの闘いを皆さんと共有をするために、ここに来られてとても光栄です。
仁藤:日本では性売買の問題や、何が性搾取になるのかということの理解がまだ市民に広がっていません。最近も日本サッカー協会の幹部の人がパリ行きの飛行機の中で児童ポルノを見て逮捕されたという事件が起こり、とても恥ずかしく思っています。この事件はご存知ですか?
オリビエ:日本のサッカー協会幹部の件については、小さな記事がフランスの新聞数紙に出ました。そこからフランスでは考え方が変わってきていることがわかります。女性の客室乗務員の通報で、その男性が逮捕されたのです。その人はもうフランスには入国禁止になりました。訪問することすら禁止です。
仁藤:飛行機でポルノを見ていただけの男性が捕まって、あっという間に有罪判決を受けて、入国を10年間禁止される……、日本では信じられないことです。「そんなことで」って私ですら思ってしまうほど、日本では当たり前に起きていることで、日本の人権感覚に問題があるのだと思います。捕まったサッカー協会の幹部の男性は、「見ていた児童ポルノはAIが作ったものだし、芸術作品だ」と主張しています。それを支持する人がいて、そういう言い訳がまかり通ってしまうのが日本社会の現状です。
オリビエ:フランスでの最近の事件の話をしますね。SHEINという中国の企業がフランスに出店したのですが、その店で少女の姿のセックスドールが売られているのを仏政府が把握しました。複数の団体の通報でそれを知った仏政府は、SHEINの商業活動を完全に禁止にしたんです。
仁藤:日本だとセックスドールを問題にする声すらほとんどないし、話題にすら上がらない。当然のように売られています。フランスでそれに対する抗議の声が上がったと聞いて、私たちもそういう時代を作らなければならないと思います。
オリビエ:決め手となったのは、そのセックスドールが「少女の姿」をしていたことです。
仁藤:日本だとそれがスタンダードなんです。
オリビエ:子どもおよび若年者の性を買うことは、フランスではとても悪いことだと考えられています。若年者の性を買うことについては「それが自分の娘だったら」と皆が考えるので、ストップがかかるのです。でも、成人女性の性を買うことについての意識は、まだ黙認されているところがあります。
仁藤:日本でも表向きには18歳未満の買春は禁止ということになっていて、社会的にも「さすがに子どもはダメだよね」と言う人は多いんです。でも実際には、つい最近もタイから連れてこられた12歳の少女が1カ月の間に60人の男に買われていたことがニュースになりました。私たちが関わる少女たちも12歳~14歳で性売買に入っている子が多いです。フランスでも14歳ぐらいで性売買に入る方が多いんですよね。
オリビエ:はい、同じ年齢です。
仁藤:フランスではポルノや性売買に対する市民の意識は、どのような状況なんでしょうか。
オリビエ:私たちは買春者処罰法ができるもっと前から、性売買についての考え方を変えようとしてきました。今やっと、性売買に従事する女性たちは経済的な不安定さによる「被害者」であると社会に理解させるところまでたどりつきました。生きるためにお金が必要で、他に手段を持っていないのです。生きるための唯一の手段が性売買なんです。彼女たちは決して自発的に性を売っているわけではない、性売買に入ることを、人生の中で選んだわけでは決してない。飢え死にしないため、また、自分の子どもに食べものを与えるためなのです。私たちはこのことをずっと伝えてきて、人々の考え方も少しずつ進歩してきています。時間はかかりますが。
一方で、子どもの性を買うことについては、社会の反応はもっとずっと厳しい。子どもの性を買うことはフランスの法律ではずっと前から禁止であると皆知っていますし、人々は子どもの身体を利用するということに強く反対しています。
仁藤:フランスでは買春者処罰法が2016年から制定されています。その前の法律は一体どんなものだったのでしょうか?そこから今はどんな風に変わってきたのか教えていただけますか。
オリビエ:2016年以前にも子どもを保護する法律はありました。それまでも、児童に対する性犯罪への処罰はとても重かったのです。そのため、子どもを買った客はただちに刑務所行きということもよくありましたし、客が「相手が未成年だと知らなかった」と言い逃れをしようとすることもありました。
2016年に作られた買春者処罰法では、私たちは「四つの重要な要素」を入れることを決めました。
一つ目は、性売買をあっせんする組織網に抗い、闘うということです。これに関しては、それ以前にもフランスには性売買あっせんを取り締まる非常に細かい法律が複数ありました。性売買あっせん業者や、いわゆる「連れ込み宿(性売買店)」の経営者に職務質問をしたり、罰金刑を課したりすることは以前から可能でした。
二つ目は、性売買から抜け出したい人たちに伴走するということです。私たちにとって最重要だったのは、買う側の処罰ではないのです。性売買から抜け出すという手段を用意せずに買う側の処罰だけをしても、抜け出したい人たちの支援にはなりません。ですから私たちは「性売買脱出プログラム」を創設し、性売買を脱したい人たちをさまざまな団体や国の支援につなぎ、脱出のための手段の提供を行うことにしました。
三つ目は、教育によって身体の商品化を防止するというものです。小学生というごく若い段階から、子どもたちが自分たちの権利や選択肢について知ることは重要です。つまり、人間の身体は買ったり売ったりはできないという、自分の身体と他人の身体に対する尊重を子どもたちに教育することが国によって行われているのです。
最後の四つ目は、一番注目されていますね。買う側による勧誘に1,500ユーロ(約25万円)の罰金を課すことです。買う側が、性的なサービスを求めてる勧誘の現場で捕まった場合です。さらに再犯の場合は、軽度の違反ではなく犯罪として処罰され、犯罪として3,750ユーロ(約63万円)の罰金を課され、前科簿にも登録されます。前科簿に登録されると就けなくなる職業もあります。
仁藤:声をかけただけで1,500ユーロ(約25万円)は日本の今の現状からすると、衝撃です。それから実際に買春行為に至った場合、3,750ユーロ(約63万円)!新宿歌舞伎町ではそういう男が今日も100人ほど出ていると思うんですけど、彼らをそのように取り締まれたら、ひと晩でどれだけの罰金が入るんだろうと思います。それを福祉に活かせるようになったらいいですよね。
オリビエ:3,750ユーロというのは最高額です。私たちは違反段階の人向けの研修も創設しました。性売買に抗う闘いに関心を持たせる研修です。でも、罰金を課すよりも受講料を払わせて研修を受けさせる方を選ぶ判事もよくいます。判事たちにはまだ少し、罰金を課すことへのためらいがあるのです。
仁藤:前科が付いたら仕事にも影響するというのは、買春者が議員になることが難しくなるとか、そういうこともあるんですか。日本だと買春経験のある人でも普通に議員になっています。
オリビエ: 2024年には、性を買った1,146人が罰金刑を受けました。再犯はとても少なかった。再犯の場合は3750ユーロ支払わないといけないし、罰金を払うということがすでにとても重大だと受け止められたからです。そして、前科簿に登録されるともう公共の職務にはつけなくなります。たとえば、公務員になることもできません。
仁藤:フランスでは1946年くらいから性売買自体を禁止する法律があったのですよね。
オリビエ:1946年に公娼制度は廃止され、いわゆる「曖昧宿」における性売買も禁じられました。「曖昧宿」とは、はっきり言えば(普通の料理屋、旅館などに見せかけて性売買を行う)「性売買店」ですね。つまり性売買の店を禁じた法律はあったのです。
仁藤:お店での営業は80年ぐらい前からすでになくなっていて、個人の性売買を取り締まる法律が2016年にできたということですか?
オリビエ:そうです。
仁藤:日本だと性風俗店というのが合法的に営業しています。建前上、挿入だけは禁止ですが、それ以外のあらゆる性行為、例えばウンチを食べたりおしっこを飲んだり膣に異物を入れたり、息ができないようにマスクで苦しめたり首を絞めたりするようなことも、プレイとして合法化されています。
オリビエ:フランスでは、異物も含めたあらゆる挿入行為、さらには挿入の有無によらずあらゆる性的な侵害、加害はレイプであると考えられています。
仁藤:「お金を払ったんだから合意があるじゃないか」というような人たちには、どう説明したら「お金を介して性行為をすることが暴力になる」とわかってもらえるんでしょうか?
オリビエ:フランスで今行われている「同意」に関する議論は注目すべきものです。明白ではない同意や本当には同意と言えない同意、自発的だとは見なせない同意、というものがあります。「お金が必要だから」という同意は本当の同意とは言えません。性的な関係のための同意はお互いに欲望を持ち、平等な性のありかたに基づいていなければなりません。そして「他に選択肢がないからYES」というのは本当の同意ではありません。そのために、この法律が存在するのです。
仁藤:私もお金で性を買うことは「一番簡単な支配の方法」だと考えています。需要を断つためにも私は買春を処罰すべきだと思っていますが、それを言うと「性売買の中にいる女性が困るんじゃないか」という反論が必ずあります。フランスでは買春処罰法制定に向けてそういう議論はあったんでしょうか?
オリビエ:その質問に対する答えにはいくつもの面があります。私たちが選んだのは「禁止主義」ではありません。「禁止主義」とは実際に性売買を禁止することです。
米国では昔、アルコールについて禁止主義をとりましたが、それにより状況は完全に悪化し、飲酒がもっと隠れて行われるようになってしまいました。私たちは、性売買に禁止主義を適用したら、性売買に携わる人たちがさらに暴力の犠牲になるだろうと考えました。その人たちはもっと隠れなければならなくなり、その人たちにとってもっと深刻なことになるでしょう。私たちは性売買従事者は被害者だと考えているため、私たちの目的は性売買の「禁止」ではありませんでした。女性たちが性売買をしないで済むようあらゆることをしなければならないと考えていますし、女性たちが性売買を続けないですむようにしたいのです。
そこで私たちはさまざまな支援を創設しました。先述したとおり「性売買脱出プログラム」を立ち上げて、当事者たちに「性売買に陥って自分を危険な状態に置かないでください」「性売買を続けないでください」「そのために脱出の手助けをしますよ」と伝えています。実はそれは、禁止主義の対極の「廃止主義」で、私たちは廃止主義者なのです。「廃止主義」は重要な言葉です。つまり私たちは、「女性の身体を買うという男性の特権」を廃止したいのです。
仁藤:日本では、売買春の行為自体は売る側も買う側もどちらも禁じられていますが売買春自体には罰則はありません。しかし、5条の勧誘等罪で、売る側(ほぼ女性)だけが捕まる法律になっています。実際には街で男たちが買春を持ちかけているのですが、女性だけが勧誘罪で捕まるという現状があります。私たちは、売る側を処罰の対象にするんじゃなくて買う側を処罰の対象にして、女性の脱性売買支援を政府が責任を持って取り組むべきだと考えています。
フランスではどんな脱性売買の支援がありますか?
オリビエ:フランスでは、性売買店の中にいる女性たちは別ですが、それ以外で女性たちが自分自身で顧客を探しに行くということはあまり一般的ではありません。以前にはありましたが、私たちは今一度、「女性たちは商品ではない」「性行為を買いたがる顧客の被害者にさせてはならない」というメッセージを社会に流布したのです。
私たちは社会を進歩させようと試みています。社会の中で他者を尊重し、女性と男性の間の平等を尊重するという考えを念頭に置いて、何年も前から闘ってきました。現状が変わらないかぎり、女性と男性の真の平等などありえないと考えていたからです。
脱出プログラムでは、女性たちは認可を受けた各団体へ申し出をします。申請書類を受け取った機関がそうした女性たちが少しのお金を持てるようにしたり、住まいを得たり職業訓練を受けたりできるようにします。女性たちの書類が行政に持っていかれ、申請が検討されている間には、その女性はずっと伴走されます。外国籍の女性というケースもよくあるので、その場合はフランス語を教えます。彼女たちは6か月の間伴走され、職業訓練が続く間は何回でも更新できます。
仁藤:日本だと性売買の中にいる女性の多くは日本人の女性です。海外の女性も一定の割合ではいますが。おそらくフランスでは国内での性売買が明確に禁止されている中で、移民の方、フランスで正規の仕事に就けない方、就労ビザが取れない方が性売買に巻き込まれているのではないかと思います。そういう方にもそのような支援をしているんですか?
オリビエ:フランスで性売買に携わっている外国籍の人々は、人身売買の被害者です。世界中ほとんど全ての国が人身売買撲滅の協定に署名をしました。しかしそれでも人身売買は起こるのです。そこで、フランスでは、性売買に携わっている外国籍の人々は人身売買の被害者であるとして、フランスの法律で保護され、支援されるべきとみなしています。ですから希望すれば彼女たちも脱出プログラムを受けられます。
もちろん、彼女たちが性売買に戻ってしまわないように、また、女性をフランス領内に居続けさせるためにこのプログラムを悪用しようとする性売買あっせん業者に彼女たちが支配されないように、あらゆる対策がとられています。彼女たちはあらゆる保護を受ける権利を持っているのです。常にうまくいくわけではありませんが。
仁藤:日本だと「性売買をする女性が悪い」という考え方で法律や行政の対応が動いていくので、被害者として捉えることから始めないとそのような支援は日本では実現しないだろうなと思いました。私たちも買春禁止を訴えていますが、買春禁止が必要だというと、「そういうことをすると性売買が地下に潜る」という言説もよく出てきます。それに対しては、買春処罰と同時に女性の非処罰と脱性売買支援をすることで対応できると考えているのですが、女性を罰せずに被害者と捉えることによって、女性たちは声を上げやすくなるんでしょうか。
オリビエ:まさに私はそう考えています。女性処罰は女性たちにとって非常に危険だと思います。性売買を禁止したら彼女たちは姿を隠してしまうだろうし、姿を隠すことでもっとひどい暴力の危険にさらされるでしょう。女性に自由があれば危険を冒さないという決断も自分でできるし、「そんな遠くまで行って身を隠すなんてことはしません」「コンドームなしなんて承諾しません」と言うことができます。
性売買が禁止されるということは、売ることを余儀なくされている女性たちにとっては、それは大変にきついことです。禁止ということならば顧客も女性も訴追されうる。皆さんも確信があると思いますが、その場合、警察は誰を訴追しますか?女性です。そして顧客は常に忘れてもらえるでしょう。人は「女性のせいだ、有罪なのは彼女だ」と言うでしょう。では顧客の男性のほうは?と言われると、人は「彼の落ち度ではないよ」と言います。
買う側を罰するという買春処罰法は、家父長制の権力に抗い闘わなければならないということをまさに示すためなのです。男性たちが女性たちに対して、女性たちの身体に対して、女性たちの権利に対して、全てに対して持っていると考えているその権力に抗い闘うということを、示すためのものなのです。男性たちがそうした権力を勝手に我が物にしているというのはおかしいのだ、と示すことが重要なのです。
仁藤:買春者処罰・買春行為の処罰をフランスに導入するにあたって男社会からの反発はなかったんですか?
オリビエ:いやあ、たくさん反発がありましたよ(笑) 政治家からもメディアからもたくさんの反発が来ました。メディアは当初、男性の権力に抗うことに反対していたんです。そして幾人かの政治家たちは当時、「性売買を禁じるよりももっと重要なことがあるだろう」と言っていました。さらに別の政治家たちは、「俺は顧客だからその問題には触れないでくれ」と言っていました。
仁藤:それをどうやって乗り越えて行ったのでしょうか。
オリビエ:私がこの法律の最初の法案を提出したのは2013年12月で、2年半かかって2016年4月にようやく採決に至りました。
仁藤:それでも2年半なんですね。日本は何十年もやっています。売春防止法の一部、売春で捕まった女性が補導院というところに入れられて花嫁修業をさせられるという法律が、66年かけてやっと最近変わりました。先輩方はその運動を何十年もやってきてようやくだったので、2年半と聞くと、日本の私たちからするとスムーズだなと思ってしまいます。
オリビエ:私たち国会議員がこの法律を通すために、さまざまなフェミニズム団体が、非常に大きな助けとなりました。そうした団体はSNSを使ったんです。私たちは当時、やり方がよくわからなかったのでSNSはやっていませんでした。そうした団体がSNSで上院議員、下院議員にメッセージを送ったんです。それから、さまざまな団体が新聞雑誌に記事やインタビューなどを発表しました。そういったことが私たちにとって本当に支えになったのです。
さらに、性売買を脱した2人の女性が、性売買に携わっていた頃の生活を物語る本を書いたのです。自分の家から上院まで法改正を求めて350キロも歩いた女性もいました。というのも、上院がこの法律に一番反対していた議会だったからです。その女性は報道機関と共に上院に行き、「この法案に反対しているのは上院議員たちだ」とはっきり言ったのです。私たちはこうしたこと全てにとても助けられました。
仁藤:その当事者の女性はフランスの方で顔も出して活動しているんですか?
オリビエ:そうです。
仁藤:これだけの女性が連帯していてかっこいいです。日本だと当事者が声を上げることは危なすぎて、本当は自分たちが恥ずかしいことをしたわけじゃないのに、隠れなきゃいけないという状況があります。だから当事者の声を表に出しにくいし、社会の側にも聞く準備ができていないということをすごく感じます。フランスでは多くのフェミニストや女性団体や市民がこの買春者処罰の運動に理解を示して参加をしたと思うんです。そういう市民の理解はどのように作られていったんですか?
オリビエ:フランス市民の意見は、ゆっくりとですが進歩してきています。この法律ができて3年後にフランス人対象の世論調査がありました。フランス人はこれをとても良い法律だと思ったのです。今はまだ時間が必要ですが、法律とは常に適切に運用されるまでにとても長い時間がかかるものです。この法律がフランス全土で適切に運用されるにはまだ時間が必要です。
パリはこの法律がうまく適用されているモデル的な都市ですが、抵抗が強いためにこの法律の適切な運用がもっと難しい地域もあります。ですから、人々の考え方に働きかけ、警察に、知事に、判事たちにも働きかけなければならない。判事たちがもっと厳格な判決を下すように。だからまだやらねばならないことがあるのです。
仁藤:日本では、「女性が加害者だ」「買うことは権利だ」と思っている男性が多いんですけど、地域差があるのは、そういう考えの人がフランスにもいるからですか?
オリビエ:パリ市長は女性で、女性の人権と平等について非常に取り組んでいる女性です。それにナント、レンヌ、その他マルセイユなどには女性と男性の平等のための仕組みを設置することに非常に熱心な市長がいます。しかし、他の地域では大都市でも市長が躊躇していたり、ましてや反対していたりする場合もあります。彼らには権力があるからこそ、こうした法律を実施したがらないのです。最低限しかやらない。最大限やる都市があり、一方では最低限しかやらない都市がある。しかしそれは女性たちの落ち度ではありません。政治家たちと知事たちの落ち度です。
仁藤:日本では女性が政治家になること自体まだまだ難しくて、国会議員の数も今ようやく女性が2割に到達したという感じです。地方議会でも女性が議員になって女性の人権やフェミニズムに関することをいうと、フェミニストであるということだけで本当にボコボコに攻撃をされて、活動を続けることができないくらい身の危険を感じる状況があります。女性の政治家がもっと立てるような状況を作って、そういう人たちに一緒に性売買の問題を理解してもらうことが必要なのかなと思いました。
オリビエさんが議員になった時代と、今ではフランスは女性の議員の数は違うんですか?
オリビエ:はい、私が議員になった当初は20~25%くらいでしたが、2017年に私の任期が終わった頃には37%の女性議員がいたと思います。でもまだ不十分です。
仁藤:日本ではまず3割を目指していてそこに行くまでにすごく苦労しているので、4割近いというのを聞くとすごいなと思います。それでも皆さんも、ずっと女性議員が増えるように闘い続けているんですよね。2016年に買春者処罰を導入した時は、左派も右派も共同でこの法律を提案して実現したと伺っています。
オリビエ:どちらかというと、社会主義者、社会主義左派がこの法律を支持していました。しかし実際には、私は完全に右派の男性下院議員と一緒にこの法律を通したのです。彼と私は全ての政治的意見が違っていましたが、女性の人権と性売買のシステムに抗う闘いについてだけ、同じ考えだったのです。その点だけは常に完全に同意見で、私たちは彼と共にこの法律を作ったのです。
社会からの攻撃・妨害に屈しないための女性運動の拠点「女性人権センター」を建設します。
2030年の完成を目指し、現在寄付キャンペーンをおこなっています。「女性人権センター」設立に力を貸してください。














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